観光情報
花と緑の島「焼尻島」
2026.02.25
花と緑の島「焼尻島」
北海道北西部、日本海に浮かぶ焼尻島。
周囲約12km、面積約5㎢の小さな島は、森と草原が隣り合う自然豊かな島です。
島の約40%を占める森林の中心に広がるのが、国指定天然記念物「焼尻の自然林」です。
オンコの森 ― 風とともに生きる島
焼尻島は、高密度にイチイ(オンコ)が自生していることから「オンコの島」とも呼ばれています。
森は、ミズナラを主体とする落葉広葉樹の林冠と、下層に密生するイチイによる二層構造。
天然生林は約130haに及び、島の中央から東側に広がっています。
大陸側から吹きつける強い西風の影響で、イチイをはじめとする樹木は横へと枝を広げ、
林内は全体的に樹高が低く、“木々のトンネル”をくぐるように散策できます。
ヒグマの心配なく森を歩けるのも、離島ならではの魅力です。

春 ― 青と白の花の絨毯
4月下旬から5月上旬にかけて、林内はエゾエンゴサクの青い絨毯に包まれます。
エゾイチゲやキバナノアマナも見頃を迎え、森のあちこちで春の訪れを感じられます。
やがてエゾエンゴサクが終わる頃、マイヅルソウやクルマバソウが一面に広がり、緑の絨毯へと景色が移ろいます。
オオタチツボスミレは、羽幌町周辺よりも茎が長く、島の植物は全体に大きく迫力があるとも言われています。

初夏 ― 草原に咲く色彩
森を抜けると牧草地が広がります。
ここではクロユリやエゾカンゾウが群生し、6月には黄色い花畑が広がります。
海岸沿いではハマナスやエゾカンゾウが咲き、島らしい開放的な風景をつくります。
6月上旬の航路では、ウトウ、ケイマフリ、ウミガラス、ウミスズメなどの海鳥や、カマイルカの群れに出会えることもあります。

夏 ― 林内の涼と花
7月になると、イチヤクソウ、ツルアリドオシ、クルマユリ、オオウバユリなど、多様な夏の花が咲き始めます。
イチイの群生する林内は木陰が心地よく、涼しい森の中を歩く時間はとても気持ちが良いです。
整備されたフットパスを歩けば、森の探検のようなワクワク感を味わえます。

秋 ― 実りと静けさ
ツルアリドオシやオオツリバナの実が色づき、ミズヒキやギンリョウソウモドキなど、個性的な植物も観察できます。
涼しく散策しやすい季節ですが、林内は蚊が多いため対策をおすすめします。

渡り鳥の楽園
天売島と焼尻島は、多くの渡り鳥が立ち寄る重要な中継地です。
日本海を越えて移動する鳥たちにとって、二つの島は休息と採餌のための大切な場所となっています。
森・草原・住宅地などでノゴマ、コムクドリ、ツツドリ、ルリビタキ、アオジなど、季節ごとにさまざまな野鳥を観察することができます。訪れる鳥の種類は両島にまたがり、どちらの島でも渡りの季節を楽しむことができます。
また、フェリー航路も観察の場のひとつです。海上では海鳥やヒレアシシギ類などに出会えることもあり、島へ向かう時間そのものが自然観察のひとときになります。

自然を未来へ
焼尻島では338種の植物が確認され、本州系植物の北限種も多く見られます。
この豊かな自然は、長い時間をかけて守られてきたものです。
草花の採取はせず、フットパスを外れずに散策し、島の自然を未来へつなぐご協力をお願いいたします。
※本ページの植物情報は以下の文献を参考にしています。
参考資料
焼尻島の植物相-志田祐一郎・磯野 直・佐藤美穂子・笈田一子
北海道焼尻島における ミズナラ・イチイ天然生林の群落学的研究-斎藤新一郎